No.24 マドリードでの再会。Cityで働く人のイマ。

12年ぶりの再会だった。 2005年のアメリカ留学で友だちになったMarcosとEts。アメリカはカリフォルニアでコロナビールを片手に飲んでた時は自分達だけだったけど、スペインはマドリードで、互いの家族を交えて夜ご飯を食べる時間は、懐かしくも新しい最高の時間だった。

クロアチア、オランダでは特に"働き方を選択する時の家族の在り方"に焦点を当ててblogを書いてみた。

昔のバカ話も盛り上がったので、あまり深くは聞けなかったけど、今回は2人の生き方の選択が”City”で働く人にとって共通のテーマになると思ったので、ここに紹介したい。 まずはMarcos。(※写真、左側)

僕にとって、スペイン人ってこーゆー奴だよなーという典型w 気さくで明るく、話もうまくてずっと話してる。一緒にいると周りが楽しくなり、電池切れると完全ミュートになるけど、めっちゃ気のいい兄ちゃん。 彼がアメリカに留学したのは30歳の時。銀行のプログラムで留学させてもらえるほど優秀な人。留学時も毎クォーター表彰を受けていて、帰国後も銀行マンとして、出世街道を歩んでいた。 ところで、ここスペインは失業率が2017年現在でも17.7%と非常に高い。もともと1992年のバルセロナオリンピック特需に端を発し、住宅バブルブームの到来と大規模な移民受け入れによって経済を潤わせてきた国。2008年のリーマンショックによって2013年には失業率が26.1%まで上がり、25歳以下の若者の失業率に関しては48.9%という、2人に1人は失業中の状態に陥った。ここ2、3年は経済成長率もプラスに転じているようだが、当時の首都マドリードの治安は目を覆いたくなるほどだったそうだ。(データ: IMF) そんなマドリードでも職を失わずに働くことができたMarcosだ。そのまま出世街道を歩むと思いきや、一転して銀行を辞めてしまう。 「毎日めっちゃ仕事して、休日に趣味のPaddle Tennisとかサーフィンを楽しむ。それに飽きちゃったんだよ。もっともっと人生を楽しくしたいだろ。」

平日に仕事、休日に趣味。 悪くない生活じゃないかと思った。 日本だったら、毎日仕事っていう人も多いぞ。 ただ。そう思うこと自体がある種の先入観らしい。 スペイン人という気質、ヨーロッパの価値観の影響もあるかもしれない。家族との時間を大切にする。楽しいことが大事。 ただ、我が身を振り返ると、はたと気づかされることもある。 彼は銀行を辞め、”自分が楽しいと思える時間を過ごしたい” そんな軸で仕事を探した。 人とのコミュニケーションが好きで得意なので、貿易会社の営業をしてみたり。 スポーツが好きなので、スポーツメーカーで働いてみたり。 Paddle Tennisが大好きなので、スクールをひらいてみたり。。。 そんなこんなで彼が辿り着いた”最高に楽しい毎日を過ごす働き方”。 それは、何でも屋。 子どもたちをサッカースクールに送り迎えしたり、街を案内したり、Paddle Tennisを教えたり、単発で営業をやったり。 自分の人脈を活かし、そのコミュニケーション能力(本人曰く、砂漠の砂でも売れるぜ!)を活かし、常に好きなことに、マルチに自分の時間を投資する。

「収入は減ったけど、今の俺にはこれがベストなんだよ。本当に、毎日、朝起きるのが楽しみさ。」 そう語るMarcosは清々しく、また彼らしいなと思えて、友人としてとても嬉しくなったのである。 そして、もう1人はEts。

実はMarcosとは従兄弟。 イケメンで頭が良く、アメリカ留学後はスペインの大学に入り直し、PWCでコンサルティングを担うところからキャリアをスタートした。 ヨーロッパを廻っていると、大都市のことを”City”と呼ぶ人たちが多いことに気がつく。その意味は人が多い、仕事が多い、仕事が忙しい、人が冷たい、プライド高い、価格が高い、、、そんなところなのだが、マドリードはまさに”City”の象徴だ。 彼は毎日毎晩働きまくり。優秀だからこそ仕事はどんどん任された。収入は高いし、やりがいもあったけど、かなり忙殺された日々を送っていたらしい。 ある晩、夜中の2時にMarcosの電話が鳴る。会社にいるEtsからだ。 ”Marcos、もう無理だ。やってられない。何のために生きてるか分からん。。” スマートが売りのEtsから、そんな言葉を聞いたMarcosは一言。 ”じゃあ。辞めようぜ、兄弟!”

こうして彼はPWCを辞め、好きな音楽に関わりたいとSony Music Entertainmentへ転職。6年間付き合った(待たせた)美女と結婚し、家族や友人との時間を大切に過ごしている。 「実は俺たち夫婦もKuni達のように、ちょうど仕事辞めたとこなんだよ。2人で2, 3ヶ月ゆっくり過ごして、また仕事探そうかなと思ってね。」 奇遇なものだ。 この12年の間に、図らずも全員に転機が訪れていた。

TokyoとMadrid。”City”で働いていたことが共通点の僕らは、世の中的には普通にキャリアを積んでいたのかもしれないが、違和感にまっすぐに、その螺旋から少し距離を置く。

バリバリ働くことは個人的に好きなので、それ自体を否定していない。ただ、いつしか自分の人生と対話する時間も忘れ、自分でバリバリ働こうと選択していたはずが、何かに囚われて働かされているという状態に陥りやすいのは、Cityの特徴だと僕は思う。僕らはただ、それに気付いたり、気づかされたりしたということだろう。

この先、Marcosのように今の自分が満足する働き方を選ぶかもしれない。取り組みたい好きなテーマを見つけたり、家族との時間を第一にするかもしれないし、組織に属して自ら進んでバリバリ働きたくなっているかもしれない。Etsや僕らは、これからだ。 また10年後くらいに再会したら、何て言ってるのだろうか。 いずれにしても、自分たちが大切にしたいことにまっすぐに、世間体に関係なく、生き方を選んでいる人間でありたいと、彼らと出会って改めて思う夜だった。 Kuni


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