クロアチア北部に位置する秘境モトヴン。
小高い山の上に中世のまま時が止まったような小さな村が存在するこの場所のもう一つの名は“トリュフの森”。前回のblogでもお伝えした通り、ここでは、トリュフてんこもりな料理が信じられない価格で食べられる!で、楽しいのは食べるだけではないらしい。滞在先のホストがすすめていたり、ネットで色々調べてみると、とある兄ちゃん率いる愉快な三匹の犬と一緒にトリュフ狩りができるらしいとの情報。親の頭の中ではここ掘れワンワン的なイメージが頭いっぱいに広がりまるでお花畑、かつ、日本では犬を怖がっていた子供達が、旅立って以降ヨーロッパの犬放し飼い文化に慣れてきて、自ら関心を抱き近づくようになってきたこのタイミングで、家族で体験してみるか!と、いざ、その兄ちゃんに連絡。「14時希望?そんなん子供も犬も暑くてバテちゃうよ。夕方をオススメするね」ということで、16時過ぎに開始。
兄ちゃんの名はニコラ。愉快な仲間であるビバ、マラ、ドナの三匹のトリュフハンターと共にやってきた。
早速「試しに3つのトリュフを渡され森の中のどこかに隠してみて。これはゲームだから。」となにやらスタート。私たちは、その3つのトリュフを森の中に入り、穴を掘って、隠した。さすがに探すの無理だろーっwという意地悪な場所にも!しかし、あれよあれよといううちに見つけるハンターたち。
子供達も、絶対トリュフが何かはわかってないけど、相当楽しそう。ということでいざ本番スタート!
とにかく嬉しいのが、近づきもしなかったSoraがこのように先陣きる姿(まだビビってるけどw)!
もぞもぞと森の中を探すこと10分。一番若いビバが、
何やら反応を示す!まっさきにオーナーのニコラが走っていくとそこには大きなトリュフが!!!トリュフゲットの瞬間↓
(すでに旦那と私はどうやって食べよう!と妄想し始めていた。)もちろん記念撮影。(ポイントはSotaの手にトリュフ)
直後。事件は起こった。トリュフがない!あれ?トリュフは?あの直径3.5センチくらいのトリュフは?!「Sota持ってたよね、どこにある?ポケット? 」 ない。 するとそばでもぐもぐする新人ビバの姿が。。Sotaは餌だと思ってビバに直径3.5センチのトリュフをあげてしまったようでw新人ちゃんのビバはとても嬉しそうだし、Sotaも良かれと思ってのこと。だって見つけたのはビバだし、ビバに渡すべきとw誰も責められない、むしろ微笑ましい出来事に一同大笑いw
日本円で15万くらいでトリュフハンティングに向けて訓練された犬を買うこともできるけど、ニコラは0から育てることにこだわる。家族であり、それこそプライスレスなんだと。生まれた頃から母親(引退済み)はトリュフの匂いを嗅いだり黒トリュフを食べて育つから、お乳はトリュフ風味。それを飲んで育つから、何かはわからないけどトリュフはとてもいいものとして認識されて育つという。そして驚いたのはこの3匹のハンター達は、英語もイタリア語も、クロアチア語もわかるという。
彼のトリュフハンティングは、このようにNYタイムズに取り上げられている。
※ちなみに白トリュフは値段にして、黒トリュフの10倍。だけど、実は希少性という意味の値付けではなく、需要側のニーズ、つまり“白トリュフの方が貴重だ!”という世の中の空気で値段が高くなってる。確かに少量で十分に料理に使える分、白トリュフがレストランから要望されることはある。でも実際は、季節によって黒と白の取れる時期が違うだけで今は黒トリュフの時期だから、黒を探しているらしい。
一気にニコラとも打ち解ける。ニコラは元々建築コンサル会社のシニアエンジニアとして、10年働いたけど大変でストレスフルで、かつ、月30万くらい収入なので、奥さんと2人だと貯蓄もあまりできない。加えて土日も仕事 奥さんと一緒にいても、明日の建築構図を想像したりして「私のこと見てくれないの?」と、嫁さんからよく叱られたという。結局、家族といる時間を増やしたいと思い31歳でこの職に。モトブンは生まれではないけど、この村が好き。良いトリュフが取れれば、1日で昔の1ヶ月分の収入を得ることもできる。取れなければ残念。結果も自分次第だし、自分で仕事と家庭の調整をできるようになったことは、良かったとのこと。
子供達にとっても親にとってもほっこりする2時間の探検だった。
トリュフという食材の背景もそうだし、そこに携わる人を感じられたことがよかった。子供達は犬を飼いたいとまで言い出したw 旅って、行間が加わるだけで、その地がグッと身近になったり、楽しさが増す。そんなことを改めて思った。モトヴンを訪れたらぜひ、彼と共に、トリュフ狩りしながら人生談義を!